2022年10月 今月の心のビタミン

私の趣味は落語で、大学生の頃は、浅草演芸場や上野鈴本、新宿末広亭など、定席と呼ばれる演芸場に通っていました。牧師になってからは、演芸場通いも途絶えていましたが、先日、地元宇都宮市の文化会館で行われた柳家喬太郎、春風亭小朝、春風亭一之輔の3人会を見に行き、久しぶりに大笑いしてきました。

落語の中に、春風亭柳昇という人が創作した「里帰り」という噺があります。噺の内容は以下の通りです。

(里帰りした娘が)                                             「私、黙って家を出てきたの。あんな意地悪なお義母さんとはもうやっていけないわ。殺してやりたいくらいよ」    「そうか、そこまで思いつめているのか。ならば父さんが良い物を上げよう。殺人に使っても痕跡の残らない毒薬だ。少しずつ食事に混ぜて姑に食べさせなさい。やがて死に至るから。ところで、お前と姑の仲を近所の人はどう言っているんだい?」                                                                    「犬猿の仲として有名よ」                                           「そうか。ならば今すぐこの薬を使うとお前が疑われるな。完全犯罪のために、そうだな半年ぐらいは姑の言うことを何でも“はい、はい”と聞いて、近所の人に仲のいい嫁、姑だと言われるように演技しなさい。薬を使うのはそれからにしなさい」                                  

(半年後、娘が再び里帰りして来ます)                                     「お前、いい着物を着ているね。そんなの持ってたかい?」                            「お義母さんが拵(こしら)えてくれたの。他にも旅行やお芝居に連れて行ってくれたりと、何かと優しくしてくれるの。あれから父さんに言われた通りに演技で“はい、はい”と何でも聞くふりをしていたら、そのうちにお義母さんが愛(いと)おしくなってきて、心の底からお義母さんの言うことが聴けるようになったの。あんな優しいお義母さんを殺すなんてもっての外よ。頂いたこの薬、もう要らないから返すわ」                                    「そうか、それは良かった。返さなくてもいいよ。豆でも煮るときに使いなさい。それは毒薬ではなく重曹(重炭酸ソーダ)だったんだから」                                               「えっ、そうだったの。でも私、お陰で胸がスッキリしたわ」                           「スッキリするはずだよ。重曹は炭酸なんだから」。

ある心理学者は、私たちが抱える問題の大部分は人間関係が原因だと語っていますが、実際、「あの人がいるせいで、あの人さえいなければ」と思うことは、誰でも一度や二度、経験したことがあるだろうと思います。しかし、問題は「あの人」にあるのではなく、「あなた」にあるのかもしれません。そして、あなたが変わると、相手も変わるかもしれません。

新約聖書のコリント人への手紙第二5章16~17節に、「私たちは今後、肉にしたがって人を知ろうとはしません。かつては肉にしたがってキリストを知っていたとしても、今はもうそのような知り方はしません。ですから、だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」というみことばがあります。私たちの罪を赦し、救ってくださるイエス・キリストによって人生を新しくされた人は、今までのような見方で人を見ることはなくなるというのです。それは、イエス・キリストが、私たちの思い煩いである人間関係を修復してくださり、恵みあふれる人生へと変えてくださるお方であるということです。あなたの人生も、イエス・キリストによって新しくされます。

聖書のことば だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。(新約聖書・コリント人への手紙第二5章17節)