昔、タレントのタモリが司会をしていた「トリビアの泉」という番組がありました。トリビアとは、雑学的知識のことで、あまり知られていない事実や、豆知識のことを言います。「トリビアの泉」では、“知っていても人生の役に立たない、でも知っていたら楽しい、明日、人に教えたくなるような雑学・知識”が紹介され、それをゲストたちが品評していました。私も番組を見ながら、「へぇ~、そんなことが」と感心したり、「えっ、くだらない」と笑ったりしていました。
聖書の世界、キリスト教の世界にも、「へぇ~、そんなことが」と驚くようなトリビアがいくつもあります。その一つが、アメリカやカナダの法律にある『善きサマリヤ人の法』です。この法律は、ほとんどの日本人が知らず、日本の法律にはない法で、キリスト教国のアメリカやカナダならではの法律です。
映画やドラマで、「この中にお医者さまはいらっしゃいませんか」と呼びかける場面がありますね。そんな時に手を挙げ、適切な治療をする医師の姿をかっこいいと感じたりしますが、実際は映画やドラマのようなわけにはいかず、名乗り出た医師が緊迫した場面で治療をした結果、相手から医療ミスで訴えられ、裁判になってしまったというケースが日本ではあるそうです。とんだ災難です。助けたいと願って、一所懸命に頑張ったのに、逆に訴えられてしまったら、お医者さんも、そう簡単には手を挙げることができなくなってしまいますよね。
アメリカやカナダでは、善意の緊急対応を萎縮させないために「災難に遭ったり急病になったりした人(窮地の人)などを救うために無償で善意の行動をとった場合、良心的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗しても、その結果について責任を問われない」という法律が定められています。それが「善きサマリヤ人の法」で、その起源は、イエス・キリストが話された、強盗に襲われ、瀕死の重傷を負った人を介抱したサマリヤ人のたとえ話(新約聖書・ルカの福音書10章25~37節)にあります。
まさに、「へぇ~」ですね。
聖書のことば この三人の中でだれが、強盗に襲われた人の隣人になったと思いますか。」彼は言った。「その人にあわれみ深い行いをした人です。」するとイエスは言われた。「あなたも行って、同じようにしなさい。」(新約聖書・ルカの福音書10章36~37節)